高校入試:県立高入試、来年度から再び変更

前期枠拡大など3本柱 /熊本

 ◇予想される戸惑いの声
 今年度から変更された県立高校入試制度が1年で再び改正されることが決まった。15日に県庁であった第3回県教育委員会(岡畑寛委員長)で来年度の同制度の改正案が可決。保護者や学校関係者から見直しを求める声が相次いだためだが、再三の制度変更に受験生や学校現場からは戸惑いの声も予想される。【新里啓一】
 県立高校入試は今年度から全募集定員の10〜50%(普通科は10%)を募り、小論文など各学校の特色ある試験が課される前期選抜▽残りの定員を募集する後期選抜――の2回に分けて実施。また、絶対評価制度の完全導入に伴い、後期選抜では学力テストに加えて3年間9教科の内申点の合計順位も考慮されるなど大幅に変更された。
 これに伴い保護者や学校側からは「1、2年のつまずきを3年で挽回するのが困難」「前期で大量の不合格者が出たため生徒の対応に戸惑う」などの意見が出ていた。
 今回の制度改正では、(1)前期選抜の普通科の募集定員枠を10〜20%に拡大(2)後期選抜の内申点では3年の評定点数を2倍して加算し、さらに国語、社会、数学、理科、英語の5教科は学力テストの結果に応じて補正(3)後期選抜で、学力テストと内申点の順位により合否判定する1次選考の合格者数が定員に満たない場合、各学校長が独自に定めた選抜基準に沿って残りを決定する――の3本柱。
 委員会では「前期枠を拡大したことでより各学校の持ち味が出せる」という肯定意見に対し、「1回の入試を経ただけで再度制度変更していいのか」「3年時のつまずきが評価全体に与える影響が大きいのでは」などの慎重意見も出たが、改正案は原案通りに可決。県教委は今後各中・高校への周知を進め、来年度の入試は新たな制度で実施する。
 県高教組の丸田裕司副委員長は「前・後期と2回の試験実施が受験生の負担増につながる、という根本的な疑問には答えていない。各学校長による選抜基準づくりもあいまいさを残した」と話している。