景気が回復しては困る ?

1998年は前年の北海道拓殖銀行、三洋証券の破綻に続き、山一証券、日本長期信用銀、日債銀がパンクした年でした。
金融システム不安 ⇒ 社会的パニックが心配された果てに、モラルハザード元年となった年でもあります。
そして日銀は全国一斉の金融緩和コーラスを背景に、ゼロ金利政策を余儀なくされ、今日に至っております。
ところでこの国債は累積残高の償還日がくる順番に、乗換えが行われます。
そのとき、景気が良くなって市中金利が上がってきたら、国債の発行利率も引き上げなくてはなりません。
仮に借換え国債が1%の金利引き上げを迫られたらどうなりますか。
ゼロ金利時代の今でさえ毎年18兆円の元利払い金に喘いでいるんですよ。
480兆円の累積債務の金利負担増だけで、地方交付金の約1年分(16兆円)を奪われてしまうでしょう。
日銀が励行するゼロ金利政策の真の理由は、国債の借換え債の円滑な発行以外の何物でもありません。
仮に市中金利が3%上がったら、国家予算が編成不能になる国なんてウソみたいですね?
こうして人類の有史以来続いた金利という概念が、この国から消え去ってしまったのです。
ということは、金融政策のタテマエとは別に族議員のホンネとして「我が国は景気が回復しては困る」のであります。
それでなくても日本経済は成熟化し、産業構造は先進国化し、人口構成は老齢化しております。
大企業が長期の設備投資を借入金でまかなう必要性はなくなったと考えられましょう。
巨大銀行が庶民の金を預かり、僅かな金利鞘を抜いて大企業に又貸しする、といった産業金融モデルの時代は終わっているのです。