キャリアづくりはJAZZだ

ジャズ音楽の醍醐味は、そのアドリブ(即興)にあるといわれる。ジャズにおいては、一応、楽譜はあるもののミュージシャンたちはたいてい、その場その場の雰囲気でアドリブを仕掛けていく。ジャムセッションで、演奏メンバーは次に何の曲をやるかは分かっているが、それをどう弾いて、結果、どう仕上がっていくかは、演奏メンバー本人たちにも事前には想像がつかない。当日の聴衆の雰囲気によっても左右されるだろうし、誰か一人のメンバーが弾いたアドリブの一節が他のメンバーに引火し、それがどんどん大きくなり、これまでにない演奏になる場合もあるだろう。そのため、ジャズの演奏の出来不出来は、もう演奏してみないと分からないのである。

アドリブとは「逸脱の創造行為」ととらえてもいいだろうが、この逸脱という試みは、基本的な演奏技術を習得し、演奏の場数を豊富に経験した上で、「偶発」に下駄を預けることの妙味を知っている者こそがやると、すばらしいアウトプットを誕生させることができる。

考えてみれば、人生もキャリアもJAZZと同じようなものかもしれない。確かに、日々の人生やキャリアを方向付けているのは、自分の意思や能力、経済力といったものだ。しかし、ことはすべて型どおり、予定通りには進まない。運や縁といった偶発の要素も大きい。人間は毎日の生活を即興演奏しているともいえる。