松井秀喜:トレード要員?

 えっ!松井がトレード要員?現地28日付のニューヨーク・タイムズ紙が迷走するヤンキースに関し、仰天記事を掲載した。来季以降を見据え、今季限りでFAとなる松井秀喜外野手(30)をトレードで放出し、若返りを図るべきという意見が球団内に渦巻いているというもの。スタインブレナー・オーナーは27日に怒りの声明を発表しており、このまま低迷が続くようだと200億円軍団の“解体”という強行手段に踏み切るかもしれない。

 7月31日のトレード期限まで間もなく1カ月。この時期はさまざまな噂が飛び交うが、権威あるニューヨーク・タイムズ紙が仰天記事を掲載した。「松井、ポサダ、ゴードンをトレードで放出する選択肢もある。彼らを使えば、見返りに若くて才能がある選手を獲得できる」と伝えたのだ。

 チーム2位の57打点を稼ぐ松井に、スイッチ打者の正捕手ポサダ、そして不動のセットアッパーのゴードンが放出要員?にわかに信じられない話だが、発端はこの日のスタインブレナー・オーナーの声明だ。

 勝率5割前後と波に乗れず、首位レッドソックスに5・5ゲーム離されての3位という状況に怒りを爆発させた。「そろそろ我慢も限界に近づいている。選手は持っている力を発揮していない。私と同じぐらい勝ちたいと思わなければならない」。さらに28日に自宅があるフロリダ州タンパで緊急会議を行うことを球団幹部に通達した。

 ニューヨークから向かうのはキャッシュマンGM、リバイン球団社長、そしてマイケル副社長。同紙は「マイケル氏が呼ばれたことが興味深い」と伝える。同氏は90年代前半にジーター、ウィリアムズ、ポサダら生え抜きの若手起用を進言し、常勝軍団をつくり上げた功労者。しかし、オーナーは近年、マイナー組織を重視する同氏の意見を無視し、有望株を次々に放出して大物選手を獲得してきた。緊急会議ではトレードを含めた補強策が話し合われるが「来季以降を見据えたチームづくりをした方がいい」との意見もあるという。

 “何でもあり”がメジャー流だが、トーリ監督が全幅の信頼を寄せるゴジラだって例外ではない。今季は3年契約の最終年。レッドソックス追撃の貴重な戦力であることは間違いないが、優勝争いから脱落した場合は一転、交換要員の切り札的存在にもなるというわけだ。

 「できるだけ長くヤンキースでプレーしたい」と話すように松井の希望はあくまでもヤ軍残留。しかし、今春のキャンプで契約延長交渉をシーズン終了後まで凍結したことが、チームの不振によって予期せぬ方向へと向かう可能性も出てきた。緊急会議、そしてこの先1カ月のヤ軍の戦いは松井の将来を大きく左右するかもしれない。

 ≪移籍可能性選手に石井、長谷川の名も≫大リーグ公式サイトは27日、トレード期限の7月31日までに移籍する可能性がある選手の特集を掲載。日本人選手ではメッツ・石井、マリナーズ・長谷川の名前が挙がった。石井に関しては負傷のトラクセルが復帰した場合に移籍の可能性を指摘。長谷川は、パドレスなどプレーオフ進出を狙うチームに最適な選手と伝えた。