開成、頭脳生かし初の16強/高校野球


高校野球東東京大会:開成9−5淵江>◇20日◇4回戦

 全国26大会が行われ、東東京では、東大進学全国NO・1の開成が、創部以来初の16強に進出。二松学舎大付、帝京、国士舘も順調に勝ち進んだ。8年連続出場を狙う明徳義塾(高知)や熊本工(熊本)などがベスト4入り。宮城では、センバツ大会に21世紀枠で出場した一迫商が敗退。昨夏代表では、佐世保実(長崎)が敗退した。21日には最後まで残っていた山口大会が開幕する。
 “日本一”の秀才軍団がやってのけた。今春の東大合格者数170人は全国トップ。あたかも難問を解くようにスイスイと難敵を撃破して、ついに創部史上初のベスト16入りを決めた。「これくらいはやってくれると思っていた」と、東大野球部OBの青木秀憲監督(34)が目を細めた。
 今大会4試合で打率4割5分1厘。脅威の看板打線がこの日も爆発した。序盤の4点ビハインドも何のその。5回に連続二塁打などで3点を入れて反撃すると、7回に急造内野手の山本剛史(3年)の適時打で勝ち越し。4試合連続の2ケタ、17安打と圧倒した。
 4安打2打点の1番・古垣弘人主将(3年)は「僕たちは打ち勝つしかないと思っていますから。目標は高橋さん(慶大−巨人)のようなボールを引きつけて後ろからたたきつけるような打撃」と話した。東京6大学の審判を11年務めている青木監督が、球審を務めていた時に高橋の打撃に驚かされたという。「見送るのかなと思っていたら、突然バットが出てきて打つんですよ」。ボールを長く見ることの重要性を痛感し、スイングスピードとバットが90度の角度でボールに当たる“形”を口酸っぱく指導している。
 全体練習は週に1度しかない。だが、大半の部員が東大を目指しているという学習能力の高い選手たちが、明確な目的意識を持って自主練習に取り組んでいることが快進撃へとつながっている。5回戦は甲子園7度出場の、今夏第1シード国士舘が相手だ。古垣は「練習量は少ないが、極限まで質を高めた僕たちの練習方法にプライドを持っている。それぞれのやり方があることを示したい」。初の16強入り。頭脳集団の真の実力が試される戦いが始まる。


ボールを長く見ることの重要性、つまりレイアウトを考えずにいきなり解きだしてはダメということだよ。スイングスピードとバットが90度の角度でボールに当たる“形”、つまり自分の必勝形を作れってことだね。口酸っぱく指導している、繰り返しの反復で体に覚えさせないとだめということ。