稼ぐが勝ち ゼロから100億、ボクのやり方

堀江 貴文 (著)

前半に出てくる「起業の勧め」は、先のある若い人に、ぜひ読んでもらいたい。「いい学校を出て、いい会社に入り、家庭を持って…」というモノサシ以外の生き方も選択できる“豊かな現代”である。
本書では、起業のために自分はどうしなければならないかには、あまり触れられていないが、そこは自分で悩み・考えるところだ。

企業貢献の割には、安い給料で搾取?されている20代・30代の若者は、働きの割りに高給をはんでいる中高年に貢いでいるという指摘は、正しい。
かっての昭和の御世には、20歳から60歳までの、40年の長きにわたって「生涯労働=生涯賃金」で、辻褄を合わせてきたのが日本企業のやり方であった。

しかし「若いときの不足分を、中高年になって貰う」というこの巡り合わせは、年金同様だいぶ怪しくなってきた。
年齢に関係なく、「今の労働=今の賃金」の人事管理をとる企業を、若者は探すべきだろう。そこで実力(特に技術力と営業力)を付けて、起業に向かったらいい。

商売の原点は、たとえばパン屋だ。夫が裏でパンを焼き、妻がお店でパンを売る。子供は両親の働く姿を見て育つ。
産業革命によって「囲い込み運動」がおき、みんな雇われ労働者になっていった工業化社会も終焉を迎えた。知価社会(堺屋太一氏)になったいま、働くことそのものを見つめ直し、原点に戻りたい。

加えていえば、職住接近が本来の姿だ。少子高齢化のいま、「リタイアしたかっての企業戦士は郊外に、現役の若者は都心に…」、こんな棲み分けが始まっている。
堀江社長の文から、いろいろなことが発想されよう。


中国ではタクシー運転手の給料は大学教授の二倍から三倍、ゴミ収集のおじさんたちや、バスの運転手の方が 民間航空機のパイロットよりも高級取り。こんな噂話をきくとなんとなく東大中退までして起業したホリエモンさんの主張が納得できる。人生のお勉強もしなくちゃ大変なことになりそうだあ。