女王の教室 鬼教師に反響3万5000件

成績至上主義、徹底した管理
脚本家 「話は変えない」

真矢(天海祐希、中央)は、成績最下位の児童や自分に逆らう児童に、すべての雑用をやらせる 日本テレビ系の連続ドラマ「女王の教室」(土曜後9・00)が、話題を呼んでいる。

 成績至上主義で児童を徹底的に管理する小学校教師の阿久津真矢(天海祐希)の言動に対して、非難や共感の声が続々と公式ホームページの掲示板に寄せられ、放送開始から1か月を経ずして、すでに3万5000件を突破した。(福田淳

 このドラマでは、6年3組の和美(志田未来)が、担任の真矢にトイレに行くのを許されず失禁してしまったり、真矢が防犯訓練で犯人役の教師に護身用のナイフを突き付けたりと、過激な描写も多い。

 23日放送の第4話では、和美が同級生の財布を盗んだぬれぎぬを着せられ、掲示板には「和美ちゃんがかわいそう」「はっきり言って、見ていて嫌になりました」などの書き込みがあった。一方では、「和美ちゃんの芯の強さに感動しました」「6年3組のみんな頑張れ!!」など、応援のメッセージを寄せる視聴者もいる。

 大平太プロデューサーは、「第1話では批判ばかりだったが、その後は『趣旨が分かった』などの意見も増えてきた。現場にいる先生方から、『よく言ってくれた』という声が多かったのが印象的」と話す。

 「こんなに大きな反響は、演出を務めた『家なき子』以来」という大平プロデューサーは、「一つのせりふやワンシーンで真矢の表面的な厳しさだけをとらえるのではなく、全11話を通じてその奥にあるものを考えてほしい」と訴えている。

 脚本を手がける遊川(ゆかわ)和彦は、「長い間ドラマを書いているが、『放送するな』とまで言われたのは初めて。真矢は、いろいろあった末に自分の生き方を決めた人。最近、自分も出会えない、『尊敬できる大人』『怖い大人』が描きたかった」と狙いを説明する。

 「反響によって、話を変えることは一切考えていない。それをしてしまうと、自分が真矢から怒られそうな気がする」と、“鬼教師・真矢”を最後まで描き切る覚悟だ。

得点が低い児童らのテストを、投げるように返却する真矢(中央)言葉に込められた思い
 真矢がドラマで発した言葉と、それに対して脚本家の遊川が込めた思いの一部を紹介する。

 「人もうらやむような幸せな暮らしが出来る人が何パーセントいるか知ってる? たったの6パーセントよ」(第1話)

 ――これは決めつけ。本当の狙いは「そんなことはない」と子供たちに言わせること。普通に話しても、子供たちは自分で考えないから、こういう言い方をしているんです。

 「いくらテストの成績が良くても、私に逆らっている限り、罰を与えますからね」(第2話)

 ――会社に行っても、逆らったらクビになるのは同じ。その時どうするかを、今のうちにシミュレーションとして与える意味があるんです。

 「親なんて(中略)担任が自分の子供のことを気にかけてくれてるって分かれば、それだけで満足するの」(同)

 ――今は、親の方が子離れしてないんじゃないか。学校には子供がいっぱいいるんだから、嫌な人がいるのも、もめるのも当たり前。親が厳しくないから、その代わりも真矢がやろうとしているんです。

 「愛することと甘やかすことは違います」(第3話)

 ――真矢も、本当は子供の成長が一番楽しみなんです。厳しく当たるのが、真矢の愛情表現。可能性を信じて、ライオンの親のように谷底に突き落とすんです。(読売新聞)